朝を迎えて、痛みは強くなってくる。
とにかくしたい。排便がしたい。この痛みは、排便したら治りそうな気がする!!
「私、トイレ行くからその間にご飯食べてきて」
と旦那に言い、私はトイレにこもる。
「うぅううう・・・・」
呻いているので、旦那は心配で外に行けないらしい。
昨晩から降り続いている雪のせいもあり、車で気軽にご飯を食べに行けないようだ。
トイレにこもっていると、もう数日前に出産を終えた方々が楽しそうに喋りながら内診待ちをしているのが聞こえてきた。
「私はこんなにも辛いのに・・・!!!」と憎くなってしまう。
自分はいつ楽になれるの?と、とにかく痛みと戦って排便をしようとふんばっていたら助産師さんに
「ダメ!その痛みは排便じゃないから!ふんばっちゃダメ!トイレから出てきて!」と叫ばれた。
出したいのに、出しちゃダメと言われる程辛いものはないと思う。
何かあった時のためにトイレのカギはかけないように、と言われているので助産師さんがガチャリと入ってきて部屋へ連れていかれる。
お尻と腹部に違和感たっぷりのまま、部屋へ戻ってまた陣痛との戦い。
昨晩寝てないから眠くて眠くて、陣痛がおさまると意識が遠くなり眠ってしまう。そして陣痛が起きると「痛いぃーっ」と目覚めるの繰り返し。
例えるならば、木づちで腰をおもいっきり砕かれて、そして排便を我慢させられて・・・っていう辛さ(笑)←今だから笑えるけれど
助産師さんが旦那の心配もしてくれ、「旦那さん、ご飯を食べに行ったら?」と。私は食べられないので、ブドウ糖を点滴して昼過ぎまでまた陣痛に耐えて子宮口が全開になるのを待つ。
旦那は雪がすごくて遠出ができないので、近くのミニストップでコンビニ弁当を買い、車で平らげてすぐ戻ってきてくれた。
腰をさすっててもらわないと辛いので、本当に旦那の存在は有難かった。助産師さんは忙しくて、つきっきりでさすってくれることはできないものね・・・。
そして13時過ぎに子宮口をチェックすると
「もうだいぶ開いてるから分娩台に行きましょう」という事になった。
ふらふらになりながら分娩台にあがって、いきみ方を習う。
陣痛が来た時にいきむのだそう。痛みには波があるから、陣痛じゃない時には休まないと赤ちゃんをかえって苦しめてしまう。
でも早く出したくて、ついついいきんでしまうんだな。
旦那が手を握ってくれ、いきむ時には自分でもびっくりするくらいの叫び方「うがああああ」というのが声が出た。
ホント、これが産みの苦しみなんだ。
何回、いきんだだろう。赤ちゃんの心拍数が落ちてるのを助産師さんが心配して、「次で出しますよ!」と力が入った。
そして陣痛の波が来た時に思いっきり下腹部に力を込める。これ以上無理!!って思った瞬間
「はい、もう休んで!!産まれましたよ!!おめでとうございます!!」という助産師さんの声と共に赤ちゃんの泣き声。
「やっと・・・」
すぐさま赤ちゃんの体をふき、私のそばに赤ちゃんを連れてきてくれる。
小さい。小さいながらにもちゃんと手足が揃い、一生懸命泣いてる。ああ、やっと会えたねぇ。10か月も一心同体だったのに、実物を見ることはできなかったものねぇ。ママだよ。頼りないかもだけど私、これからママになる人です。大切に育てるからね。
旦那は写真をたくさん撮ってくれた。
どうやら赤ちゃんが出る前に胎盤がはがれたらしく、それで心拍数が下がってきたようだ。
大事に至らず赤ちゃんもタイミングよく出てきてくれて、助産師さんからは「安産ですね!」と。
でも10時間苦しかったな、陣痛。これで安産なんだ・・・。
「私は丸二日、かかったんですよー」と助産師さん。え!それは大変だっただろうな。
この痛みはもう二度と味わいたくないな、子供は1人でいいな、なーんて産んですぐは思ったけど、すぐ忘れちゃった。
30数年ぶりの大雪の日、そしてバレンタインデーの2月14日、14時20分に2726gで女児を出産。
ずっと夢見てた出産というイベントが叶った。